第22章 立待月に焦がれて(政宗)
「大丈夫だよ。だから、政宗こそそんな顔しないで?」
そういうと、手首を撫でる手に自分の手を重ねた。
「何か…理由があったんだよね。私もちゃんと話さず出て行ってごめんなさい。
でも、でもね?私…政宗のことずっと待ってて…それで…」
「わかってる。その話は後にしよう。まずは、ほら、冷めるから食え」
そういうと、もう一度頭をポンと撫でる。
「あんまり腹一杯にするなよ?」
「え?」
「お前のずんだ餅が待ってるからな」
そういうと、自分のお膳に手をつけ始める。
「でもあれ…」
「いいから、食えって言ってるだろ?
どんな時も腹が満たされれば心に余裕ができる。
だから、まずは食え。な」
そう言って、黙々と食べる政宗を眺める。
(なんか…自分に言い聞かせてる?)
そんな思いを胸に、愛も政宗の料理をたべ進めて行く。
「おいしい…」
無意識に呟かれる愛の声に
政宗は感じたこともないほどの安堵感に襲われる。
(いや…はじめてじゃないな)
この安堵感は前にも味わっているような気がする。
いつだったのか…この感覚は……