第22章 立待月に焦がれて(政宗)
(あいつ…なんで言わなかった!)
女中の会話でなんとなく事情はわかった。
見張り小屋には愛一人で行ったのではないのだろう。
日吉に餅を作ったのは愛ではない。
「クソっ、どこにいったんだ!」
思い当たるところは全て探した。
城に戻り、愛の自室をのぞいたが戻った形跡はない。
針小部屋も、もう誰もいなかった。
途中仕事を終えた光秀と秀吉に出くわすが愛のことは見ていないという。
念のため安土の女中にも聞いてみたが、今日は城では一度も見ていないと言った。
愛を探す、その間中、風呂敷包みだけは肌身離さず小脇に抱えている。
家康や三成の御殿にも出向いたが、全て空振りだった。
城下の茶屋にも行きつけの反物屋にも愛の姿はない。
「なんでどこにも居ない…」
政宗の焦りは、空振りを重ねる度に増して行く。
「まさか…変な輩に捕まってるんじゃ…」
思考はどんどん悪い方に向いてしまう。
(見張り小屋…まさかな)
今日の昼間に愛が訪れたという見張り小屋。
いる訳はないと思いながらも、万策尽き果てひとまず向かう事にした。