第22章 立待月に焦がれて(政宗)
城で会議を終えた政宗は、見張り小屋へと向かっていた。
(今日は差し入れはないが、様子だけでも見に行くか)
何の気なしに向かっている、よくある事だった。
『政宗様!』
見張り小屋に着くと、面々がなにかを食している。
「なんだ、みんなしてさぼってるのか?」
軽口のように政宗が言いながら中を見れば、見慣れたものが目に入る。
「ずんだか?どうしたんだ?」
怪訝な顔で聞けば、今しがた愛が差し入れに来たという。
(愛が?なんで俺に黙ってきたんだ……)
『政宗様も召し上がりますか?』
そう言って差し出されたお重は自分の御殿の物だと気づく。
「あぁ…」
不機嫌そうにひとつつまめば、形こそ不恰好だが、
それは紛れもなく自分が愛に教えたずんだ餅に違いなかった。
休憩小屋では、政宗が来ている中、ずっと日吉が囲まれて冷やかされていた。
「なんだか今日は騒がしいじゃねぇか」
『はは、それはもう今日は日吉が質問ぜめにあってますからね』
ふと見やれば、しどろもどろに頬を染めた日吉が、
いつから好きなんだ、お前にはもったいない女性だ…などと囃し立てられていた。
『日吉はこのずんだ餅に恋してるそうなので…』
そう笑う部下たち。
(どう言う事だ…あいつ、日吉に差し入れるために?気に食わねぇな)
政宗は何も言わず立ち上がる。
『もう帰られるのですか?』
そうそうに帰り支度をする政宗を部下たちが引き止める。
「あぁ。ちょっと用ができた」
(あいつに話を聞かなきゃならねえからな)
不機嫌そうにその場を去った政宗に首を傾げながら
『政宗様なら絶対一緒になって日吉の話を聞きたがるとおもったのになあ…』
左ノ吉はそう呟くのだった。