第22章 立待月に焦がれて(政宗)
キョロキョロ……
見張り小屋の近くに着くと、愛は辺りを見回した。
(政宗はお城で会議って言ってたし…うん、いなさそう)
『どうなさったんですか?』
小夏が不思議そうに問いかける。
「う、ううん、ほら、忙しそうだったら悪いと思って…
でも、大丈夫そう。行こうか」
『は、はい…』
(うー、緊張するなぁ…日吉さん…食べてくれるかな…)
愛たちが見張り小屋に近づくと、真っ先にその姿を見つけた左ノ吉が駆け寄ってくる。
『愛様、お久しゅう御座います』
丁寧に片膝をつき頭を下げる。
「左ノ吉さん!戻られてたんですね、お久しぶりです」
愛が嬉しそうに声をかけた。
『その説は大変お世話になりました』
「晴れ着はいかがでしたか?似合ったかしら…」
左ノ吉の娘春菜のために晴れ着を縫った事が昨日のように思い出される。
『はい、妻がそれはそれは痛く感動しておりました。本当にありがとうございましした』
左ノ吉と愛が話しをしていると、それに気づいた部隊の面々が集まってくる。
『これは、愛様ではないですか、あれ?政宗様は一緒じゃないのですね』
愛だけが来ることは確かに珍しい。
「今日は皆様に差し入れを…あ、日吉君!」
そう言う愛の目線お先には、日吉が向かってくる姿が目に映った。
『愛様、ご無沙汰しております。あ…』
そう挨拶する日吉はすぐに小夏を捉える。
『日吉さん…お久しぶりです…』
もじもじと挨拶をする小夏。
「さぁ、こなっちゃん、渡してあげたら?」
そう言って小夏の背中を前に押す。
『こ、これ、あの、愛様に教えて頂いて作ったので…
よ、よかったら皆さんで…』
そう言いながら包みを日吉に渡す。
『ん?あぁ…彼女が小夏ちゃんかい?』
左ノ吉が日吉に話しかける。
『え…あ…は、はい…』
なぜか頬を染める日吉に、小夏も真っ赤になって俯く。
「こなっちゃんが手作りしたずんだ餅ですよ。
日吉君もみなさんも、故郷の味でしょうから、ぜひ召し上がって下さいね」
『おお、政宗様以外のずんだが食べれるとは!』
みんなが盛り上がる中、日吉はそっと小夏に近寄り、
『ありがとうございます』
そう礼をするのが精一杯のようだった。