第22章 立待月に焦がれて(政宗)
それからと言うもの、愛は政宗が城へ出かけた後
自分の針子の仕事がない時は、台所にたちずんだ餅の練習を重ねた。
「うん、これ政宗が作るのくらい美味しく出来た!」
すっかりずんだも手馴れて作れるようになり、艶々のお餅もつけるようになった朝、
愛はこっそり小夏を呼び出した。
「こなっちゃん、どうかな…美味しく出来たかな?」
自分で作ったことがないとは言え、政宗と同郷の小夏の評価は気になる。
小夏が一口、口へ運ぶのを緊張の面持ちで見守った。
『…っ!これ…凄く美味しいです!』
小夏の顔がパッと明るくなると、愛は心底胸を撫で下ろした。
「よかったぁ…、多分政宗が作るのと同じようにできるようになったと思うの」
『え…もしかして、愛様練習してくださってたのですか?』
小夏が驚きを隠せないと言う声をあげる。
「そりゃそうだよ。ずんだ餅が好物の人に作るのを、教えられるようになるためには
まずは自分がちゃんと美味しく作れないとじゃない?
だから、少し時間かかっちゃったけど…大丈夫そうかな」
申し訳なさそうに言う愛に、小夏は愛の手をぎゅっと握りしめる。
『ありがとうございます!私…本当に愛様と出会えてよかった…。
こんなに優しくて素敵な方が政宗様の姫さまなんて…本当に嬉しいです!』
恥ずかしい事を次々と並べ立てる小夏に、愛はいても立ってもいられなくなる。
「ちょっと…大袈裟だから…。
じゃあ早速、次のお休みに決行しようか!」
『はい!私、一生懸命頑張ります!!』
すっかり元気を取り戻した小夏を、愛は嬉しそうに眺めていたのだった。