第22章 立待月に焦がれて(政宗)
<美味しいずんだ餅が作れるようになりたい>
急にそんなお願いをされた政宗は、ある日の休日に台所に立っていた。
「わー、この枝豆凄くいい匂いだね!」
愛が目を輝かせて自分の隣に立っているのは政宗も悪い気はしない。
「茹でたて食べてみるか?」
「え?いいの?やった♪」
茹で上がった枝豆の一つに手を伸ばそうとすると、
「熱いからちょっと待て」
そう言うとサヤを一つ掴み、愛の口元に運ぶ。
「ほら、口開けろ」
愛が少し口を開くと、ぷちっと豆っが弾け口いっぱいにいい香りが広がる。
「ん…美味しい!」
小動物のように口をもぐもぐさせる愛を見て
政宗は、ははっと笑う。
「な、なに…」
「いや、お前は本当に美味しそうな顔をするなと思って。ほらもう一回口あけろ」
そう言うと、愛は素直に口を開こうとする。
「ぁ…んんっ…」
不意に塞がれた唇に驚いて目を丸くする。
「な、なんっ…」
顔を頬を真っ赤に染めた愛を見て、政宗は満足そうな顔をする。
「お前が無防備なのが悪い。ほら、豆潰すぞ」
そう言いながらくつくつと肩を揺らす。
「んもー!意地悪っ」
「なんだそんなに頬を膨らませて、そんなに豆溜め込んでるのか?」
台所には政宗の笑い声が響く。
そうして穏やかに流れる時間は、ここが戦国時代と言う事をすっかり忘れさせてしまうようだった。
「で、できたー!」
艶やかな餅の上に、出来立てのホクホクの餡が綺麗に纏っている。
「中々うまく出来たじゃないか。ほら食ってみろ。作った奴の特権だ」
そう言うと、政宗は一つを頬張る。
愛も続いて口に運び、
「んー!美味しい!」
嬉しそうに目を細めて口をもぐもぐと動かす。
「ほんと、お前のその顔を見てると何でも作ってやりたくなるな」
愛の頭をわしゃわしゃと撫で回し政宗が笑う。
「ちょ、ちょっと!
でも一人でも美味しくできるように練習しないとね」
(こなっちゃんに教えてあげられるまでにならないと…)
「おう、頑張って上手くできたら、俺にちゃんと一番に食わせろよ」
そう言って、愛が怒るのも構わず
もう一度頭をくしゃくしゃと撫で回した。