第22章 立待月に焦がれて(政宗)
「え?日吉君を見張り隊に?」
ある夕餉、愛の驚く声が響く。
「なんでお前がそんなに驚くんだ?」
続いて政宗の怪訝そうな声が重なる。
日吉は黙って二人の会話を聞いていた。
「だって…あそこは…」
敵襲があった場合に一番最初に戦う場所。
それがどういう事かは口にする必要もない。
日吉だから危険というわけではない事を分かっている愛は
その続きの言葉を飲み込んだ。
現に今、その危険な場所には政宗の大切な部下たちが勤めているのだから。
「どのくらい…そこにいるの?」
愛は不安そうに聞く。
「そうだな、ひと月は行ってもらう事になる」
政宗は淡々と答える。
日吉は微動だにしない。
「日吉君…」
愛が日吉の名前を呼ぶと、日吉ははじめて愛を向き直った。
『愛様、心配は無用です。私はこう見えても武士ですから。
危険だからと避けて通るような弱い心では政宗様の右腕など到底なれませんから』
そういうと、日吉は力強い笑顔を見せた。
(そうか…そうだよね…政宗だって意地悪で言ってる訳じゃないんだから…)