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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第22章 立待月に焦がれて(政宗)


お茶で一息入れると、小夏の緊張もだいぶ解れたようで、
愛の部屋にかけられている着物をマジマジと見つめていた。


『これ、全て愛様が仕立てられたのですか?』


「うん。そうだよ。陰干しが終わるから明日にはお届けするものだよ」


『近くで見てもよろしいですか?』


愛が頷くと、小夏は嬉しそうに着物に触れる。


『なんだか…愛様の仕立てる着物は、見てるだけで幸せな気持ちになります…』


小夏は一つ一つ丁寧に生地に触れる。


「ありがとう。それを着てくれる人もそう思ってくれると嬉しいな。
その着物を着たら笑顔になってくれるといいんだけど」


そう言いながら、小夏を眺める。


『きっと、そのお気持ちがこの着物から溢れているんですね…。
とっても素敵です。刺繍も丁寧で…』


「こなっちゃんは本当に着物が好きなんだね」


『はい!私もいつか愛様の仕立てるような着物が作りたいです』


そう言いながら、ゆっくりと座り直した。


「そうだ、さっき廊下で会った日吉くんだけど、
こなっちゃんと同じお城にいたんじゃないかなって思うの」

『え?』

「こなっちゃんと同じような話をしていて。
政宗が領主になったから、今は安土で勉強のために近くに置いてるの」

『へぇ!そうなんですね。
お侍さんとはあまり関わることもありませんでしたので、
同じお城にいても分からなかったと思います。
それでさっき、知り合いかと聞いたのですね』


小夏は一口お茶を啜ると、


『さっきは何だか焦っていたようでしたが、どうしたんでしょうね?』


と首を傾げた。


「うーん…確かに変だったよね。
後で聞いてみようかな」


愛はこの時、そこまで日吉の行動を気にはしていなかった。

(それよりも…)


「こなっちゃん、これ見てくれる?」


そう言うと、籠の中から端切れと刺繍糸をいくつか取り出す。


『わぁ、素敵な生地の端切れ布ですね』


小夏もその生地を見ると、すっかり日吉の事は頭の片隅に追いやられた。


「よかったら、この端切れ貰ってくれないかな。
あと、この糸も。中途半端で悪いんだけど、
練習用には使えると思うから…」

『えっ?』
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