第22章 立待月に焦がれて(政宗)
「ちょっと…!まだ夫婦じゃありません…」
消え入るように愛が言う。
『同じようなものでしょう。素敵なご両人ですからね』
『そ、そうだったんですね!何も知らずに…申し訳ありませんでした』
なぜか小夏は大層恐縮した様子で畏る。
「そんな、政宗と一緒だとそんな畏る必要ある?」
『だ、だって、自分の故郷を救ってくださった方の姫君ですから…』
そう言うと、パッと小夏は笑顔を強め、
『あぁ…本当に夢のようです!そんな素晴らしい方の姫様が愛様なんて!
絶対、私の故郷はこれから良くなるに決まってます!』
愛の両手をギュッと両の手で握りしめた。
『あはは、確かにこの安土も信長様が素晴らしく発展させて下さっていますが、
政宗様と愛様のお国は、きっと負けず劣らずの素晴らしい場所になる事でしょう』
そう言い残すと、行商の男性は去って行った。
「こ、こなっちゃん…次、行こうか…」
『はい!どこでも、どこまでも付いていきます!』
どこまでも瞳をキラキラと輝かせた小夏に、愛は降参してしまう。
「そんな、私は凄くないからね。
でも、これからもよろしくね」
そう眉尻を下げるのだった。