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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第22章 立待月に焦がれて(政宗)


次の日、愛は約束通り小夏を連れて城下を回っていた。


『愛様、安土の町は素敵ですね!
お噂は聞いておりましたが、信長様の楽市楽座はこんなに賑わっているのですね!』

小夏は子供のように目を輝かせていた。


「うふふ。こなっちゃんが気に入ってくれて良かったな。
信長様は、戦ばかりしているように思われがちだけど、
こうやって民が好きな事を好きなようにできるようにとても考えて下さってるんだよ」


『今までの暮らしでは考えられません。
故郷のみんなにも、見せたいです。いつか…皆んなで笑ってここを歩きたい…』


「ここに連れて来られなくても、
こなっちゃんの故郷もこういう風にきっと政宗がしてくれるよ」


小夏は急に出された政宗の名前に少し驚く。


『え?愛様は政宗様とお知り合いなのですか?』


「え?言ってなかったっけ?」


『何をですか?』


愛は何といえば正解なのか困ってしまう。


(政宗と恋仲だよ…も恥ずかしいし…
でも一緒に住んでるよ…とか違うしな…)


『もしかして…愛様は信長様の姫ではないのですか?』


「あ、うん、信長様の姫では…ないかな」


複雑そうな顔をしていると、急に名前を呼ばれる。


『愛様、こんにちは!』


振り向くと、政宗が懇意にしている行商の男性が笑顔で立っていた。


「あ、こんにちは!お元気そうですね」


『おかげさまでこの通りです。
今日は政宗様はご一緒じゃないんですね』


「そんな、毎日一緒にではないですよ」


笑顔で答えれば、


『そうですか?私がお見かけする時はいつもご一緒にいらっしゃいますから』


小夏はそのやり取りを驚いて聞いている。


『愛様は…政宗様の姫様なのですか?!』


「えっ?!」


小夏の思いがけない大きな声に愛は焦ったように声を出す。


『そちらのお嬢様は?』


行商が不思議そうに聞く。


「あ、えっと小夏ちゃんは新しい針子の仲間です」


『そうでしたか。安土にはまだ浅いのですね。
愛様と政宗様は安土一仲の良いご夫婦ですよ』


少しいたずらっぽく行商が小夏に笑いかけた。
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