第3章 彼と私の秘密の言葉(三成)
自室に帰る途中、秀吉の部屋で作業をしていた家康とすれ違う。
家康は、いつになく険しい顔をしている三成に
『その顔なに?戦でも始まるの…』
と声をかけた。
三成が顔を上げると、冷ややかな視線を送る家康がいた。
(今朝は愛様に何を差し上げていたのでしょう…)
「失礼致しました。
戦…。確かに、私にとっては初陣になるかも知れません…」
いつもと違う三成に面食らう。
『面倒くさそ…』
そう言って、その場を場を立ち去ろうとしたが、三成に呼び止められる。
「愛様が少し体調がお悪いようです。後で診ていただけますか?」
そう言うと、
『…。症状は?』
「食欲が無いようです。」
『わかった。夜行くから。」
「っ…。宜しくお願いします。」
最後はまた、三成が険しい顔になったのを見届けて、
家康は立ち去った。
(そういう事ね。本当にめんどくさい…)