第3章 彼と私の秘密の言葉(三成)
そう言うと、愛の頭を優しく撫でる。
「うん。ちょっと台帳とわからないのがあったから助かる!」
そうして2人で書庫の残りの片付けをしていく。
どの位の時間がたっただろうか。
1人でやっていた時よりも数倍の効率の良さで捗っていった。
『おーい、愛、まだやってるのかー?』
「あれ?政宗かな?」
愛が入り口に目をやると、
お盆を持った政宗が現れた。
「どうしたの?政宗」
『お前の姿がずっと見えないから、まだここに居るのかと思ってな。
三成かと思ったら、秀吉だったのか。さっそくの強敵だな』
そう言うと、悪そうに笑った。
「なに訳分からないこといってるの??」
不思議そうに愛が首を傾げる。
『ほら、お前飯食ってないんだろ?
団子作ってきたから食べろ。』
政宗が持っていたお盆を見ると、美味しそうなお団子と
お茶の入った湯のみが3つあった。
「ありがとう。
すごい準備いいね。秀吉さんがいるのも知ってたの?」
奥から秀吉もやってきて、
『政宗、今日は視察帰りなんだから、ゆっくり休んでいいんだぞ?』
と、朝からずっと料理をしてる政宗を心配するが、
『休日だから料理作ってんだ。これだって息抜きなんだよ』
と政宗が笑う。
『さ、茶が冷めないうちに食え。うまいぞ』
そう言うと、手際よくお茶を分けていく。
「「いただきます」」
(んー甘さ控えめで美味しい〜!)
幸せそうな顔で食べる愛に、政宗は満足そうな顔で、
『いっぱいあるから、沢山食えよ?』
と言うと、
「私はもうお腹いっぱいだから、秀吉さん食べていいよ」
と返ってくる。
秀吉は、訝しげな顔で、
『愛、昼餉も食べてないのに、団子も一本じゃないか。
本当に具合悪くないのか?』
と心配する。
「うーん…。どこも悪くないと思うけど…。
政宗、ご馳走様。今度このお団子作り方教えてね!」
と、いつも通りに見える笑顔で言う。
秀吉はまだ心配そうに、「大丈夫か?」と愛の頬を触り、
政宗は、「いつでも教えてやるよ」と愛の頭をポンポンと撫でる。
(なんか、お兄ちゃんが2人になったなぁ…)
愛はそんな事を考えながら、2人の甘やかしを受け入れていた。