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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第21章 月と金星 (秀吉)


『ぷっ。ひどい顔だな』


漸く落ち着いた愛に、手ぬぐいを渡しながら政宗が笑い出す。



「もう、そんなに笑うことないでしょ!」



『なんだよ、さっきまで泣いてたのに、今度は怒ってんのか?
忙しいヤツだな。本当にお前は飽きない』



そう言いながらクツクツと肩を揺らす。



「でも…ありがとう。
自分でもこんなに泣きたかったって思ってなかった」



『お前は人に対してはズケズケと入り込んでくるのに、
自分のことには我慢しすぎなんだ。もっと楽に生きろ』


そう言いながら、愛のおでこを軽く弾く。


「いたっ!
政宗みたいに自由に生きてたら、友達いなくなっちゃうよ!」


『そうか?俺は割と仲間は多い方だと思うぞ?』


愛は少し考え、


「確かに…。でも、みんな振り回されてるよ」


と口を尖らした。


『それが嫌ならついてこないだろ?
まぁいい。明日、光秀の御殿に秀吉を呼んでるそうだ。
俺は飯作りに行くから、お前も手伝え。
家で一人で悶々と待ってるのも、性分じゃないだろ?』



「え?さっそく明日なの?
確かに、一人でいるのは嫌だけど、その場にいるのも…」



『だから、飯作ってる間に聞き出すって言ってたから、
お前は何も考えずに俺の手伝いしてろ』




「うん…わかった…」




『安心しろ。もしあいつがお前と夫婦にならねぇって言うんなら、
俺がお前を貰ってやる。お前なら大歓迎だ。
伊達政宗の妻でも、十分歴史に名を残せるだろ?』



「そ、そんな勝手に決めないでよ!」


愛は再び顔を真っ赤にして怒り出す。



『まぁそれは追い追いな。
俺が言いたい事は、お前を此処に残す方法なんて、
いくらでもあるってことだ。あんまり一人で背負いこむな』


そう言うと、愛の頭をポンポンと叩き、
あっという間に立ち去って行った。



「政宗…。ありがとう」


愛は嵐のように去って行った政宗の背中に小さくお礼を言うのだった。


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