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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第21章 月と金星 (秀吉)


佐助がその症状に気づいたのは、まだ安土に愛が来る前だった。
戦場で謙信を助け、春日山に住むことになった。

いつか必ず現れるであろう愛を待つには絶好の居場所。
手に職をつけるために忍という道を選んだ。

幸村とは親友と言いあえる程の仲になった。
最初は、愛を待つ間だけ…そう思っていたが、
いつしか年月が過ぎると、此処以外に自分の居場所はないと思える程だった。


そんなある日、いつものようにマキビシを作ろうと準備をしていると、
ふと、一粒掴んだ感触はあるのに、指先が霞んで見えた。
眼鏡の視力が合わなくなったのかと焦った。
ここでは、現代のように簡単に自分に合う眼鏡を買い換える事は出来ないからだ。


最初は気にしなかったその霞も、日を追うごとにはっきりと透けていくようになった。
慌てて佐助は、ワームホールとタイムスリップの計算をし直した。
どう考えても、タイムスリップは雷の大きな力が関わっているはず。
徐々に消えることはあるのか…と。

いくら計算式を考えても、答えは出なかった。


このまま、此処での暮らしは無かったものになってしまうのか…。
当たり前だった日常は、非日常なのだと思い知る。
自分でも解けない謎の中に放り出された事をまざまざと思い知った。




「今は?何ともないの?」

愛が一番聞きたい質問を再度重ねる。

『あぁ。君が現れる少し前から、もう全く起こらない』


「それは…何でか、もう佐助君はわかっているんでしょう?」


佐助は全て納得して此処にいる。
愛にはそう思えてならなかった。


『そうだね。ある事があってから、再度計算を重ねて、
俺はその答えを導き出した。本当に合っているかの検証は、
残念ながらこの時代ではできない。でも99.97%の確率で自信を持っている』


その言葉を聞き、愛の顔に明るさが戻る。


「ねぇ、じゃあ私も大丈夫なんだよね?
これが治る方法、あるんだよね?」
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