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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第21章 月と金星 (秀吉)


(お願い…居ますように…)



祈るような気持ちで光秀の御殿に着くと、
心配をよそにあっさりと部屋へ通された。



『光秀様、愛様がいらっしゃいました』



女中の声がけに、光秀は話を止める。


『愛が?』


驚きながらも部屋の襖を開けた。



「すみません、突然…え!」


愛は、その部屋に先に居た先客を見てギョッとした。


『なんだよ。俺がいる事がそんなに驚く事か?』


「いや、その、お仕事のお話中でしたよね。
じゃあ私は、また改めますので…」


そう言うと、襖を閉めようとするが、すかさず閉まる襖を止める手に阻まれた。


「ま、政宗、なに…」


『何じゃねーよ。お前が光秀を訪ねてくるなんて、
絶対面白そうな事しか起こらねーだろ。早く入れ』



まるで自分の部屋へ招き入れるような振る舞いに、
光秀はため息をつく。


『お前たちは、揃いも揃ってなんの前触れもなく現れるが…
まぁ、せっかくだから話は聞いてやってもいい』



政宗に無理やり座らされた愛は、観念したように居住まいを正した。



「光秀さんに、折り入ってお願いがあります…」



『ほぉ。俺にお願いとは珍しい事もあるもんだな。
秀吉が聞いたら血相を変えて乗り込んで来そうだが』


含み笑いをしながら光秀が答える。


『なんだよ。俺じゃなくて光秀なのか?
まぁいい。言ってみろ』


「もう…なんで政宗が偉そうなのよ…」


『政宗がいると不都合なら出て行かせるが』

光秀がチラリと政宗をみる。


『ふぅ〜ん。出て行ってもいいが、秀吉が知ったら何て言うかねぇ』

政宗はハナから出て行く気も無さそうに言う。


愛は一つ大きくため息を吐くと、


「わかったよ。政宗も居てもいいけど、絶対にこの三人の秘密にするって約束して」

と、告げる。


『俺はまだ、秘密にする約束などしていないが?』

光秀が意地悪な笑いを浮かべながら言う。


すると、愛はバッと頭を深く下げる。


「どうか、秘密裏に私のお願いを聞いて欲しいです」


あまりの真剣さに、光秀と政宗は目を合わせる。


『わかったから、さっさと頭を上げて行言ってみろ」

その声に促され光秀を見れば、先程の笑いを収め、真剣に愛を見つめていた。
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