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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第21章 月と金星 (秀吉)


あれ以来、秀吉や三成に心配をかけまいと、出来るだけ普段通りにと心がけてはいる。
けれど、どうしても愛の心の靄は晴れない。

何故なら、ソレは、日に日に、疲れて目が霞んでいるのではないと
実感してしまう事が多くなっていたから…。



夜寝ていても、何度も不安で目がさめる。
朝起きたら、自分が消えてしまっているのではないかと思うと、
目を閉じても中々寝付けないのだ。


目がさめるたびに、自分の手を確かめて、大丈夫だと確認する。
そんな毎日が続いていた。




タイムスリップしてきた時は、大きな雷と物凄い嵐がやってきた。
佐助も、落雷が引き金になっているのではないかと言っていた。
けれど、最近の安土は比較的穏やかな天候が続いている。


「だから、大丈夫なんだよね…」


いくら自分が透けて見えても、それだけが心の支えのようになっていた。
それでも、朝から少し曇っていると、ソワソワと落ち着かないのが現実だった。



(佐助君に相談してみようかな…)



そう思っても、秀吉の御殿に住まうようになってからは、
天井裏からも現れることはなく、
むしろ織田と上杉が協定を結んだこともあり、
幸村や佐助がやってくる時は書状をやりとりした上で、
安土城へ来るようになっていた。

だがそれも表向きなこと。未だに信玄は織田を仇としていることもあり
頻繁にある事ではないので、前に佐助に会ってからはもう数ヶ月は経っている。


(私から堂々と会いたいと言うのは…難しいかな…)


信長に頼めば許可はしてくれるだろうが、何故会いたいのか理由は聞かれるだろう。


(できればまだ、大ごとにはしたくない…)



なんの根拠もない話なうえ、嘘をついたところで信長には絶対に見透かされる。
どうにか佐助と連絡を取る方法を…できれば秘密裏に…


「そうだ!あの人ならそう言うの得意かも…」


ある人物を思い浮かべた愛は、そそくさと出かける用意をする。






『あら、愛様お出かけですか?』


出がけに女中から声をかけられてドキリとするが、


「はい。光秀さんに用事を頼まれているので。
夕刻には戻りますね」




そう言うと足早に御殿を後にした。






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