第20章 貴方への愛を紡ぐ日(家康)
オマケ
バレンタインデーの翌日、安土の面々は三成に呼び出されていた。
「三成、どうしたんだ急に話があるなんて、何かあったのか?」
秀吉が険しい顔で訊く。
「お前が呼び出すなんて、何処かで何か動きがあったのか」
政宗は戦が出来るのかとワクワクしているようだ。
「俺の耳には何も届いていないが…」
光秀は、何が行われるのかを面白がっているようだった。
『家康様はいらっしゃってないのですね…後で私から参りましょう』
そう言うと、三成は用意していた包みを開けた。
『こちらを、皆さまへ!一日遅れてしまいましたが、
私からのばれんたいんです!』
「「・・・・」」
『いかが致しましたか?さぁ、どうぞ!』
「三成…念のために聞くが、これは…食べ物か?」
政宗が、恐る恐る訊く。
『はい!先日政宗様に教わった饅頭を作りました!』
天使のような無邪気な笑顔で三成が言う。
「まん…じゅう…だと?」
秀吉は、見たこともない生き物を触るように、重箱の中の一つを手に取った。
その手の中には、うねうねと、今にも動き出しそうな謎の茶色い物体がある。
「光秀…お前から食え。お前はいつも食べ物だかなんだかわからないもの食ってるだろ…」
政宗が重箱を光秀に寄せる。
「政宗が教えたのなら、まずは師匠から食べるのが筋だろ」
光秀は珍しく真剣な顔で政宗を見る。
「いや…見た目だけが…アレなだけと言うことも…」
秀吉は、一生懸命作ったであろうその物体を口に運ぶ。
「ぶっ!」
「お、おい!きたねーな!かかっただろうが!」
政宗は秀吉が噴き出した饅頭を盛大に浴びた。
「三成!なんで饅頭がこんなに辛いんだ!」
秀吉は一口食べて涙目になっている。
『あまり甘すぎない方が良いかと、
餡に山葵を練り込みました!』
政宗はそれを聞いて、目を輝かせる。
「そうか!それなら早く家康に持って行ってやれ!
涙を流して喜ぶぞ!」
『そうですね!では皆様はこちらを召し上がって下さいね。
こちらは家康様と信長様にお渡ししてきます!』
そう言うと、素早く三成が部屋を出る。
「やめろ、三成!絶対にやめろ!」
秀吉は慌てて三成を追いかける。
「おい、廊下は走るなよ!」
光秀の声が響いた…。
オマケ 終