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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第20章 貴方への愛を紡ぐ日(家康)


自室に戻って、そっと包みを開ける。



「家康…みんなに渡してくれたんだ…」



今日、思いがけず自分からの贈り物がみんなの手元に渡った事を思い出す。
まるで家康が乗り移ったかのように素直になれない自分に、
なんだか悲しい気持ちになる。




「家康…いつも、こんな気持ちだったりするのかな…」




わかってるつもりで、家康の天邪鬼は受け止めて来たはずだった。
でも、一度意地を張ってしまうと、中々素直になれなかった。




包みの中には、家康の為に作ったプレゼントが綺麗に畳まれている。
戦さ場では一緒に居られないけど、これで少しでも家康を守れたら…

そんな気持ちを込めて作り上げた贈り物。



愛は懐から、そっとクマたんを取り出す。
それは、家康の着物を着たもの。


自分が作ったその人形は、真っ直ぐに自分を見つめている。


「さっきの家康みたい…」


いつもは天邪鬼な家康が、素直に謝ってくれた。
意地を張ったら素直になるのがこんなにも大変なのに…。



「ごめんね、家康…」



『謝るの、俺の方だから…』



「え?」


まるで握りしめたクマたんが答えたのかと思って目を見開く。
その瞬間、部屋の襖が開いた。


振り返れば、そこには家康が立って居た。



「いえ…やす…」



驚いている愛に構わず、家康は部屋に入ると何も言わずに
愛を抱きしめた。


(家康の匂い…たった一日なのに…懐かしい…)



ふわっと鼻をくすぐる家康の香りに、今まで閉じ込めてきた涙が溢れ出す。


「家康…うっ…ごめんね…私っ…うっ…」


涙は嗚咽に変わり、上手く気持ちを伝えられない。



『泣かせて、ごめん。
愛はいつも俺の事ばっかり考えていたのに…ごめん』



優しく抱きしめて居た腕に力を込める。
愛はただただ首を横に振り続け、家康の腕の中で泣き続けた。
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