第20章 貴方への愛を紡ぐ日(家康)
政宗、三成、そして秀吉にそれぞれ小さな贈り物を手渡す。
「ん?これ、この前仕立ててもらった俺の着物と同じものを着てるのか」
政宗が真っ先に気づく。
『とても可愛らしい人形ですね。猫…でしょうか?』
三成はまじまじとクマたんを眺める。
『この抱えているものは何だろうな?
愛が居ないからわからないな』
秀吉が嬉しそうに自分のクマたんを撫でる。
「ところで、なんで愛から直接貰えないんだ?」
政宗が痛いところをついてくる。
『それはな…』
秀吉が説明しようとしたとき、
『わぁ!こちらの巾着の中には文も入っているのですね!』
三成が嬉しそうに小さな紙を開いた。
「え?文?」
中を開けていなかったため、家康も秀吉も気づいていなかった。
巾着の中には焼き菓子と共に、それぞれに当てたメッセージが入っていたのだ。
ーー三成くんへ
いつもめげずに家康と仲良くしてくれてありがとう。
三成くんの選んだ本を凄く熱心に読んでるよ。
これからも、家康との読書仲間よろしくね
愛ーー
「ちょっと、いつから仲良しになったんだよ」
家康が不機嫌な声を漏らす。
『わぁ、家康様、嬉しいです!これからも宜しくお願いします!』
三成の言葉に
「宜しくしたくない!」
と、声を荒げるが夢中になっている三成には届かない。
「俺のはなんて書いてあるんだ?」
ーー政宗へ
いつも家康の好みの味を教えてくれてありがとう。
家康も政宗が一番色々な事相談しやすいみたいだから、
これからも家康のこと支えてあげてね。
愛ーー
「支えてって…別に相談とかしてないし…」
「おうおう。俺はいつでも歓迎するぜ、家康」
『じゃあ次は俺だな』
ーー秀吉さんへ
いつも天邪鬼な家康の事、一番にわかってくれてありがとう。
そして、家康のこと、普段も戦場でも信頼してくれてありがとう。
秀吉さんには二人のことで時々迷惑もかけちゃうけど、
これからも見守っていて下さい
ーー愛
「信頼してもらってるのは…ありがたいと思ってます…」
『お前達は目を離すと、すーぐすれ違ってるからなぁ。
まぁ、何かあったらすぐに言えよ』
そう言って秀吉は嬉しそうに笑った。