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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第20章 貴方への愛を紡ぐ日(家康)


(ん?なぜあの部屋に灯りがついている…)



秀吉が帰ったのを見届け、信長は台所へと向かっていたが、
普段は灯りの灯らない愛の部屋がぼんやりと明るい事に気づく。


家康の御殿に愛が住むようになってからも、
こうして金平糖を取りに来る度に確認する癖があった。



(誰か忍び込んでいるのか…)




台所へと向かっていた足は、当たり前のように愛の部屋へと方向を変えた。



『入るぞ』


そう言うと、反応を待たずに襖を開ける。



「信長様っ!」


そこには、居るはずのない部屋の主の姿があった。


『愛、何をしている』


信長は少しだけ目を見開いたが、何も言えずにいる愛の様子に全てを悟った。


『家康に愛想がつきたか』


そう言うと、口元に笑みを携え愛の前に座った。


「愛想がつきた…とかじゃないですけど…
今日は顔を見たくないんです」



『貴様がそんなに怒りを露わにするのは珍しいな。
何があった。言ってみろ』


「何というか…」


『事と次第によっては、もう貴様を家康の元には帰さん。
言わないのならそれ相応と捉えるが良いのか』



口調は穏やかだが、信長の目は真っ直ぐに愛を捉え真剣に見つめていた。



「実は…」





愛が全てを話し終えると、信長は笑みを収め口を開く。


『今までの貴様なら、泣いて飛び出しそうなものだがな…』



そう言われて、初めて愛は、確かに…と思った。


「確かに悲しかったんですけど、それよりも話を聞いてくれないし、
勝手にいろんな事を決めつけるし…本当に私が三成くんを好きだと思ってるのかと思うと、
腹が立って仕方なかったんです!」



すごい剣幕でまくし立てる愛に、信長は腹の底からの笑い声をあげる。



「何がそんなにおかしいんですか!もう私は家康には何もしないって決めたんです!」



『家康は愛が他のものに何かしている事に腹を立てたのに、
貴様は家康には何もしないという事は、それ以上の事を家康に用意していたのだろう?』



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