第3章 彼と私の秘密の言葉(三成)
ー嫉妬ー。
そんな感情が自分にあった事に驚く三成。
【恋】と言うものに気付いてから、いろいろな自分に気付きますね…
ふふふ…
『三成…。お前、俺を無視するな。』
その声さえ、もう三成には届いていないようだった。
(あ、何か貰って喜んでますね…)
家康と愛から目が離せず、政宗の声は一切きこえていない。
愛は、家康と共に秀吉の元を訪れた。
たまたま、御殿の門の外で出会ったのだ。
「家康さん、視察から戻られたのですね。
おかえりなさいませ!」
愛が笑顔で話しかけると、
家康はその眩しすぎる顔に全力で天邪鬼を発揮する。
『急に声掛けないでよ。朝からうるさい…。』
「ご、ごめんなさい…」
さっきまでの笑顔が一瞬にして引っ込み、
申し訳なさそうに眉毛を下げる。
『別に…。怒ってるわけじゃないよ。
あんたの能天気な顔見てると、帰ってきたって気がして悪くない。
ただいま。』
そう言われると、素直に嬉しくなって、
満面の笑みでもう一度言う。
「おかえりなさい!」
視察先はどういう所だったかという愛の質問に
ポツポツと答えながら、そのまま2人で秀吉の部屋を目指す。
『あ、そうだ…。これ。』
思い出した様に、家康は懐から赤い小花が散りばめられた
小さめの手鏡を渡す。
「え?」
『あげる。視察先で貰ったから…』
そう言うと、バツが悪そうに目元を赤くしながら
愛に押し付けるように渡す。
「わぁ!とっても可愛いです!
ありがとうございます。大切にしますね!」
そう言うと、満面の笑みを家康に降り注ぐ。
(ほんと、眩しい人。なんで三成のことなんか…)
喜ばれてこんなに嬉しいのに、
三成のことも一緒に思い出してしまう自分にため息をついた。