第18章 くりすますをあなたと(三成)
三成が部屋を出ると、愛が淹れたお茶を飲みながら
佐助の顔が少し綻ぶ。
「やぁ、久しぶりだね。元気にしてた?」
『うん。お陰様でこの通り、元気だよ!
佐助君は、今日こっちに来たの?』
「いや、2日前から安土に入っている。
うっかり謙信様のわがままに足止めを食らったら大変だからね」
『ふふふ。相変わらず突然斬りかかられたりしてるの?』
「それは聞かないで。今日くらいは謙信様のお守りの事は忘れて
プライベートを満喫したいから。
三成さんに招待されたって言ったら、謙信様も信玄様も、
俺も連れて行けと騒いで大変だったんだから…」
佐助は、何かを思い出すように遠い目をすると、
深いため息をついた。
『私もびっくりしちゃった。
三成くんから提案してくれたんだよ?
でも、三成くんは、敵、味方では人を判断しない人だからね。
そういうところ、とっても好きなんだ!』
愛の幸せそうな顔を見て、佐助はさらに表情を緩める。
「君が好きになった人が三成さんで良かった。
本当に幸せなんだって伝わってくるよ。
さっきも…」
『ストーーーップ!
もうそれは忘れてっ!』
(もう、よりによって不意打ちのキス見られるなんて…
なんか…三成くんもワザとな気がしたし…)
「あはは、大丈夫。しっかり俺の脳に刻み込んでおいたから。
それより、五百年後だったらもうすぐクリスマスだね」
その言葉に、愛は少し寂しそうに笑う。
『うん。そうだね。
もし、五百年後に三成くんといたら…どんなクリスマス過ごすんだろうって
最近よく考えちゃうんだ。この時代じゃ誰にも通じないけど…
佐助君とクリスマスの話出来るだけで満足だけど』
その言葉に佐助は少し考えると、
「じゃあ、二人でクリスマスする?
実は、君にクリスマスプレゼントを用意してるんだ。
まだ出来上がってないけど…
恋人とクリスマスはできなくても、友達とクリスマスはいかが?」
愛の顔がパッと輝く。
『え?!クリスマスプレゼント?
しかも作ってくれてるの?凄く楽しみ!
じゃあ、私も佐助君に用意する!』
その弾んだ声を、そっと聴いている人には気付かずに…