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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第17章 我儘に甘えて(秀吉)


家康と別れて、愛は針小部屋へと向かった。
最近では、仕立ての仕事は個人で受けているが、
手の空いた時には城での仕事を手伝っているからだ。



(急ぎの仕事はないか…)



針小部屋では、特に急ぎのものもないと言う事で、
仲間と少し雑談して戻って来た。




〈愛様、お疲れではありませんか?顔色が優れないようですが…〉




(そう言えば、家康にも言われたな…。
確かに今日はちょっとふらつく感じがあるかも…)


午前中はずっと座って縫い物をしていたから気づかなかったものの、
こうして歩き回っていると、時たまフワッと身体が浮くような感覚に陥る。





ふと、通りかかった部屋の奥から、
聞き慣れた声がする。



(秀吉さんと…光秀さん?
これはお小言じゃなくて、真面目な話だな…)



他に数名の男の声も聞こえ、
仕事の会議をしているようだ。




(ここにいるんじゃ、仕事部屋寄っても無駄かぁ…)



何となく、折角城に来たんだからとかこつけて、
御殿に戻る前に秀吉の部屋へ顔を出そうと思っていた愛は、
足取りも重くその場を去った。




(今日は帰って来たばっかりだから、
明日になったらもっと会えるかな。
同じ所に帰るんだしね!)



無理矢理自分に言い聞かせながら、廊下を進む。


「うっ…」


すると、急に目の前の世界が歪んで、
慌てて近くの柱に手を伸ばす。




『お、おいっ!愛か?大丈夫か!』




しゃがみこみそうになった所を、誰かの腕に抱きとめられた。




「ん…まさ…むね?」


まだ少し揺れる目に、深く鮮やかな青い着物が映る。



『おぉ。どうした?体調悪いのか?』



政宗は、まだ喋ることが出来ない愛を横抱きに抱えると、
そのまま、安土城にそのままになっている愛の部屋へと向かった。

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