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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第17章 我儘に甘えて(秀吉)


(あ!秀吉さんだ!)



家康の羽織の解れを直し終えた愛は、
数日ぶりに安土城へと来ていた。




天主から広間へと降りて来た所を、
家臣の数人に捕まっているようだった。



(相変わらず、忙しそう…今日遅くなるって行ってたもんね。
声かけたら、きっと迷惑だろうな)



少し離れた所から部下に囲まれている秀吉をそっと見つめる。
その顔は、信長の右腕としての顔であり、沢山の家臣達から慕われているその人だ。



『何、盗み見してんの?』



寂しい気持ちでぼーっと眺めてしまっていた愛に、
不意に背後から声がかかった。


「わぁ!い、いえやす?!」


驚いた愛は、その場で飛び跳ねんばかりに勢いよく振り返る。


『ちょっと…そんな幽霊でも見たような顔しないでよ…
あんたってほんと、失礼だよね』


不機嫌というよりは、呆れたような声で言われ、
愛は慌てて弁明をする。



「家康が急に声かけるから、びっくりしちゃっただけだよ!」


『別に、大きい声出した訳でもないでしょ』


「そ、そうだけど…」


『それだけ、秀吉さんに見惚れてたって事でいい?』


「確かにそうだけど…見惚れてたって言うか…」



言葉尻に力がなくなって行く愛に、
家康は一つため息をつくと、


『寂しいなら、声かければいいでしょ』


と、再び呆れ声で言う。



「そ、そんな事っ…
第一、秀吉さんは忙しいんだから邪魔しちゃ悪いよ…」



『ふぅん。まぁ何でもいいけど。
ちょっと、あんたまだ顔色があんまりよくない…』


愛は、その場の話題を変えようと、
家康の言葉を遮るように、


「そ、そうだ、私、秀吉さんじゃなくて、
家康の事探してたんだよ!ほら、これ直ったよ」


そう言うと、
持っていた包みを家康に押し付けた。


「じゃ、じゃあ私、針小部屋覗いて帰るから、
またなんかあったら、いつでも言ってね!」


そう言うと、足早にその場を離れた。


『まったく…あれ程無理するなって言ってるのに…』


家康は渡された包みを見つめて、また一つため息をつくのだった。
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