第16章 織物のように(三成)
さっきまでのぼんやりとした顔は影を潜め、
頬を赤く染めて目を逸らしている三成に、心配になって声をかける。
『いけませんね…。こんな朝から…。
私はこんなにも欲深かったなんて…。止める事ができません』
自分自身と葛藤している三成の姿に、思わず手を伸ばす。
「三成くん、おはよう」
そう言うと、今度は愛から触れるだけの口づけをする。
「おはようの口づけ…」
『愛様…これでも必死に耐えているんですよ…』
「知ってる」
『…っ!』
「出かけるまでは、三成くんの時間だから…」
照れながらも三成を見上げながら言うと、
離れていた腕が一気に距離をなくした。
『愛様…。幸せで、死にそうです』
ぎゅっとキツく抱きしめられる。
「そしたら、何回でも蘇生するから…んんっ…」
全部言い終わらないうちに再び塞がれ、
全身を優しい手が翻弄する。
(お団子は…また後で…)