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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第16章 織物のように(三成)


すっかり日も高くなった頃、漸く二人は出かける準備をはじめていた。



『愛様すみません…すっかり遅くなってしまいました…』


申し訳なさそうに三成が言う。


「大丈夫だよ、まだ時間あるし、それに…」


少し言い淀んだ愛に三成が首を傾げる。


『どうかなさいましたか?』


「私も、三成くんと、その…離れたくなかったから…」


愛は耳まで赤く染めて俯きながら答える。



『ふふふ…。愛様もすっかり色づいていますね』


三成はいたずらっ子のような笑顔で、
いつの間にか手にしていた楓の葉を愛の頭に乗せた。


『いい季節です。もっと寒くなればいい』


外を眺めながら三成が明るい声を出す。


「三成くん、寒い方が好きなの?」


初めて聞く言葉に、不思議そうに見上げる。


『ええ。暑いとやはり書物も集中しづらいですし…
それに、寒い方が貴女をより一層温められます』


そう言うと、愛の両手をキュッと握った。


「もう…だから、そう言う事さらっと言わないで…」


『それに、これからの季節は、此方が大活躍ですから』


そう言うと、綺麗に畳んであった羽織をふわっと纏う。


「それ…」


『はい。これでいつでも愛様に包まれていられます』



それは、まだ三成への恋心に気づかぬふりをしていた頃、
ただ喜ぶ顔が見たいという気持ちだけで縫い上げた羽織だった。



「着てくれるんだね!」


うまく畳めない事や、汚してしまう事を理由に大事に仕舞われていた羽織を
これからは普段使いしてくれるという三成。


『えぇ。だって、これからはいつでも愛様に畳んで頂けますし、
もし綻んでもすぐにお直しをお願いできますから』


満面の笑みで言われると、愛も心の底から嬉しかった。


「これからは、三成くんの着物も、晴れ着も、羽織も、
何でも作ってあげるからね。遠慮せずにいつでも言ってね」


『本当ですか?何だか申し訳ないですね。
私は貴女に何も作って差し上げれないのに…
せめて政宗様のように料理でもできれば…』


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