第16章 織物のように(三成)
朝、愛が、いつもよりも眩しい朝日で目を覚ますと、
しっかりと三成の腕の中に閉じ込めらていた。
お互いに何も身につけていない事に同時に気づくと、
おそろしく甘くグズグズに溶かされた昨晩の事が鮮明に思い出される。
その証拠とも言える桃色の跡が、
何も身につけていない自分の身体に鮮明につけられているのが目に入った。
(あ、お団子!)
同時に放置してしまった月見団子を思い出し、
そちらに目をやろうと腕を抜け出そうとすると
『ん…愛様…』
目を開けていない三成の掠れた声と、逃すまいとする腕の力が伝わった。
「三成…くん?」
起こしてしまったかと、顔を覗き込むと、
目を閉じたまま口元に笑みを携えた三成が、頬を擦り寄せてくる。
(ふふっ…猫さんみたい)
どうにも愛しさが募り、振り返るのを諦めて
再び布団だけではない温もりへと身を委ねた。
『愛様…どこにも行かないで…』
そう言うと、目を覚ましていないはずの優しい手が
愛の頭を引き寄せ、確認するように顔に触れる。
「大丈夫。ここにいるよ」
そういうと、自分に触れる三成の手を握り、
チュっと小さく指先に口づけをした。
『そこじゃ…駄目です…』
「三成くん?」
寝ぼけているせいか、三成の声はいつにもまして艶っぽく、
いつまでも慣れない愛は胸の高鳴りを抑えきれない。
(朝から心臓破裂しそう…)
そう思っている間に、更に引き寄せられた唇に、
噛みつくような口づけを落とされた。
「ん…ちょっ…みつな…んん…っ」
まるで、夜の続きのような口づけに驚いて目を見開くと、
そこには、ぼんやりと目を開けて微笑んでいる天使のような三成の顔があった。
『おはようございます、愛様…』
そう一言だけ言うと、また求めるように唇を奪われた。
何の抵抗もできず、ちからを込めるのをやめると、
ふいに三成が離れていく。
「三成くん?」