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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第16章 織物のように(三成)


『愛様、明日は外に出ませんか?』


膳を下げた縁側で、お茶を飲みながらお団子を食べる。


「え?三成くん明日お休みなの?」


『今は急ぎのものもありません。
愛様はお休みと聞いていましたが、何かご予定がありましたか?』


「時間取れたのに、書物読まなくて良いの?
あんなに欲しがってたのに…」


自分のために無理をしているのではないかと不安になってしまう。


『先程も申し上げた通り、急ぎがありませんから、
明日でなくても読めますよ』

笑みを崩さずに言う三成に、


「なんか…三成くん、変わったね。
三成くんの生活に、私の居場所を作ってくれてありがとう」


その言葉に、びっくりしたように目を見開くと、


『貴女と一緒になってから、私の生活の中に愛様が居ないことは考えられません。
こうして月を愛でながら食事をする事も、人参が食べられるようになった事も、
今までの私には考えられませんが、だからと言ってあの頃に戻る事など、
もっと考えられません』


真剣な顔で言う三成が、とても愛おしく感じる。


「私も…。私は…三成くんの世話役になった時からずっとだけどね。
もう、五百年後に帰る自分なんて、想像もできないもん」


『ありがとうございます。
私は、貴女と会えて本当に多くのものを頂きました。
これからもずっと、こうして私の隣にいて下さいね』


どちらからともなく顔を寄せて、触れるだけの口づけを交わす。


「明日は、午後からお世話になってる反物屋さんが、
織物を作るところを見せてくれる約束なの…」


顔が離れると、愛が申し訳なさそうに伝える。


『では、そちらに私もお伴して宜しいですか?』

顔を曇らせていた愛の頬に優しく触れながら三成が言う。

「いいの?三成くんあんまり興味無いんじゃない?」

『愛様が興味があるものは、全て知りたいです。
ぜひ、一緒に連れて行って下さい』


その言葉に愛は嬉しそうに頷く。


「あ、じゃあその前の時間は三成くんの好きなことしよう?」


『えぇ。ありがとうございます。
では、今からそれまで、私が愛様の時間を頂きますね』

そう言うと三成は愛の腰を引き寄せ、さっきよりも甘い口付けを落とした。



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