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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第16章 織物のように(三成)


「よし、こんな感じかな?」


愛は、中庭の縁側にお膳を用意すると、
花瓶にススキを生け終えた。

お膳の上には、昼間拾った紅葉を綺麗に洗い、
そこかしこにと散りばめてある。



「三成くん、喜んでくれるかな…」



クスッと笑うと、三成を呼ぶために部屋を後にする。



(きっと、秀吉さんからもらった本に夢中だよね。
後ろから抱きつくくらいしないと気づいて貰えないかも…)


「よし!」



三成の部屋の前で気合を入れると、勢いよく襖を開ける。


「三成くん用意できたよ…!わっ!」


文机に向かっているとばかり思っていた三成は、
思いがけず襖の目の前でこちらを見て座っていて、
いきなり飛び込んできた姿に愛は驚いて体制をくずした。


『愛様!大丈夫ですか?』


気づけば、もつれさせた足は踏ん張りきれず、
三成に抱きつくようになだれ込んでいた。


『愛様…。とても刺激的なお迎えですね』


その腕の中にすっぽりと愛を抱きかかえたまま、
今にも顔と顔が触れそうな近さで微笑む。


「みみ、み、三成くん、なんで此処に…」


真っ赤になったまま、愛は状況が掴めずに慌てふためいている。



『愛様が、部屋で待つようにとおっしゃられたので、
お待ちしていたまでですが…』



キョトンとした顔の三成に、少しだけ冷静さを取り戻すと、


「てっきり秀吉さんからもらった本を読んでるかと思って…」


やっとの事で声を絞り出した。


『愛様との約束がある時に書物を読むような無粋な真似はできませんよ』



三成はそう言って微笑むと、腕の中の愛の額に
触れるだけの口づけを落とした。



「三成くん…」


『貴女に会うのが待ち焦がれすぎて、居ても立っても居られませんでした…』


そう言うと、抱きしめていた腕に少しだけ力がこもる。


「やだなぁ…ずっと同じ御殿にいるのに…」


『それでも…です。お待ちしていました』


天使のような笑顔に真っ直ぐ射抜かれて、
再び顔をリンゴのように赤くする。


「うん…。お待たせ三成くん。準備できたよ」


『はい。では参りましょうか』

そう言うと三成は愛を立たせ、手を引いた。
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