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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第16章 織物のように(三成)


秀吉が安土城に戻ると、政宗に声をかけられた。

『お、秀吉戻ってきたのか。
ん?なんか浮かない顔してんな』


いつもより覇気のない表情を鋭く見透かされた。



「あぁ…政宗か。今、三成のところへ行ってきたんだ」


そう言うと、小さくため息をつく。


『なんだ、あの二人に当てられて傷心か?』


政宗は面白そうに秀吉を揶揄う。



「そんなんじゃない。
間の悪い事をしたと思ってな…」


『間の悪い?』



「お前、愛に団子の作り方教えたらしいじゃないか」



『あぁ。月見がしたいって言うからな。
ん?今日じゃねぇか?十三夜は』



秀吉はその言葉に再びため息をつく。



「そうだ。愛がとても楽しみにしていた」


政宗は秀吉の様子に訝しげな顔をする。


『それが、どうかしたのか?』


「三成が欲しがってた書物、早く欲しいだろうと思ってさっき届けたんだ…。
あいつ、すぐに読みふけって、愛の楽しみにしてた月見をふいにするんじゃ…」


『なんだ、そんな事か』


政宗は、秀吉の憂いの原因がわかると、
ははっ。と鼻で笑った。


「お前…笑い事じゃないぞ。
今日は夕餉も愛が作るって張り切ってたのに」


紅葉を集めて恥ずかしそうに笑っていた愛の顔を思い出すと、
これからするであろう三成の行動に胸が痛んだ。


『大丈夫だと思うぞ?』

意味もなく自信満々に見える政宗に、今度は秀吉が怪訝な表情を見せる。


「なんでだ?」


『あいつは、俺たちが思うよりもずっと変わったからだよ。
まぁ、そんなに気に病むなら、後で覗きにでも行ってみるか』


政宗は何処か楽しそうに言う。


「覗きにって…お前…」



政宗と別れたあとも、どうにも気にかかって仕方がない。
自分の間の悪さのせいで、愛に寂しい想いをさせると思うとやはり胸が痛んだ。


(様子を見に行って…俺たちが少しでも紛らわせてやるしかないか…)


大きくため息をつくと、秀吉は残りの仕事をするため政務部屋へと足を運んだ。
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