第2章 特別な人(秀吉)
『さぁ、愛、特別なお前をもっと甘やかしたいところだが、
せっかく政宗が作ってくれたんだ、まずは飯を食え。』
「うん。一緒に食べよ?」
『食べさせてやるよ。愛にだけ、特別だからな?』
全部食べ終わったら…。
特別な愛としか出来ない、さっきの続きをするから覚悟しとけよ?』
「ひ、秀吉さん!!」
ぷくーっと頬を膨らしました
愛の顔は一瞬にして煙でも出るのかというくらい
真っ赤になった。
『昨日の逢瀬をやり直さないとな。』
愛に匙を運びながら、秀吉が微笑む。
「え?秀吉さんお仕事は?」
驚いて愛が訊く。
『信長様に嘘をついた罰として、今日1日は
政務をやらせてもらえないんだ。』
「嘘?」
『今日は、昼からは城へ顔を出す事も禁止だそうだ。
さっき言われた。』
更に驚く愛。
『だから、愛。
今日は一日中、俺と一緒に御殿にいてくれるか?』
言葉の意味をゆっくり理解した愛。
「うん!!」
匙で粥を救おうとしていた秀吉に愛は思い切り抱きつく。
『おい、おい、危ないだろ、全くしょうがないな。』
そう言いながら愛をみると、
どんな贈り物を送った時よりも嬉しそうで、
幸せそうに秀吉の胸におさまる愛の顔が見えた。
(こんな特別な笑顔、今まで見ていなかったなんて、
俺は大馬鹿ものだな…)
幸せをいっぱい感じながらも、そう心の中で呟きながら、
愛の頭を優しく撫で続けた秀吉だった。
第2章 終