第15章 勝手な我儘(政宗)
夕餉が用意された部屋に入るなり、愛は感嘆の声をあげる。
「わぁ!何?今日何かのお祝い?!」
あまりのはしゃぎように、政宗は声を出して笑う。
『お前は本当に…。ほら、早く座れ』
政宗に促されて膳に着く。
『昨日はあんまり食えなかっただろ。
今日は腹がはちきれるほど食えよ?』
愛は両手を合わせて
「いただきます」
と、箸をとる。
一口、口に入れればキラキラと目を輝かせて
「美味しい!!」
と笑みを漏らす。
『そうかそうか。本当に作りがいがあるな。
俺は、お前がそうやって笑顔で食ってくれるのが一番嬉しいんだ。
ありがとな』
「なんで作ってくれた政宗がお礼するの?
…ってあれ?」
何かに気づき愛がコロコロと笑い出す。
『だから、今度は俺の番だって言ったろ?
ほら、まだまだあるからな。沢山食えよ』
そう言うと、満足げな表情で愛を見つめるのだった。