第15章 勝手な我儘(政宗)
夕餉のあと、早々に褥へと潜り込んだ愛だったが、
疲れが溜まりすぎて寝つきが悪かった。
いつの間にか、書簡の整理を終えた政宗が部屋へと入ってくる。
「政宗、終わったの?」
『お前!まだ起きてたのか?』
驚きながら、政宗も褥へと潜り込む。
愛は、政宗の胸に顔を擦り付けるように寄り添った。
『どうした?珍しいな』
ふふっと笑いながら、政宗が愛の頭を優しく撫でる。
「疲れすぎちゃって寝れなかったけど…
やっぱり、政宗の側が安心…」
撫でてもらっている事が心地よく、
今までの寝つきの悪さが嘘のように、
愛は瞼を閉じた。
『頑張ったな…ちゃんとご褒美用意してやるからな』
「…政宗…」
『ん?なんだ?』
「………好き」
『おい…煽ってんのか』
「むにゃむにゃ…」
政宗はくくくっ…口の中で含むような笑いを漏らす。
『寝言かよ…。全く。
元気になったらいっぱい甘やかすからな。覚悟しろよ』
優しい声で呟くと、政宗も愛の心地よい体温を感じながら、
幸せな気持ちで眠りに落ちた。
翌日、目を覚ますと、政宗はすでに着替えを終えていた。
『おい、ねぼすけ、起きろ。朝餉だぞ』
楽しそうに愛の頬をプニプニとつつく。
「…ん。もう朝?」
眠たげに目を開けると、数日前にほころびを直しておいた着物を着た政宗が目に入る。
(あ、ちゃんと直ってること気づいたんだ。よかった)
ノロノロと起き上がり、
「おはよう、政宗。
なんか、いっぱい寝れた気がする」
そう言うと、ふにゃふにゃと笑いながら、
おはようのキスをした。