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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第14章 あなたへの恋文(家康)


『なんだ、お前もか』


胸の奥の甘酸っぱい何かをグッと抑えて、
いつもの兄の顔でもう一度頭を撫でた。



「え?」


『家康にはちゃんと言ったんだけどな。
素直な気持ちは言える時に言わないと後悔するって』


秀吉の言葉に愛驚く。
その表情はすぐに柔らかい物に変わり、


「そうだよね。後悔してる…」


そう呟いた。


『悪いな。もっと俺が一緒に残ってやれれば、
もう少しあいつの負担も減らせたんだが…』


申し訳なさそうに言う秀吉に、愛はそっと首を振る。



「ううん。秀吉さんが謝る必要ないよ。
二人とも、やるべき事があって、それに真剣に向かってるだけでしょ?」


そう言うと、秀吉を見上げてにっこり微笑む。


『お前…いい女だな。そう言うとこは…』



誰に言うでもないくらい、心の声が溢れるような小さな声に、



「え?なに?」



愛が不思議そうに首をかしげる。



『いや、何でもないよ。
政宗から聞いたぞ。お前明け方近くまでずっと仕事してるらしいな』


無理やり厳しい顔を作り、敢えて咎めるように言う。



「政宗?なんで知ってるんだろう。
政宗って情報がほんと早いよね」




(お前のことだからだろ)





そんな言葉を胸にしまう。




『今もまだやってたのか?』


「うん。明日の朝までに仕上げる着物があるから」


『信長様からも、最近は城下にまでお前の仕立ての腕は評判と聞いてる。
だけど、あんまり無理するな。家康が知ったら心配するぞ』


うふふ…と笑みを零し、



『秀吉さんの方が心配してそう』


と返す。


「でも、暇じゃなくて良かった…」


小さく零した愛の言葉に、
再び胸が締め付けられる。


目の前の可愛い妹…と無理やり思っている存在は、
こんなにも一人の男を愛しているのだと伝わってくる。


『もう少しだから。
ちゃんと元気に家康を迎えられるようにしておけよ?』


「うん。ありがとう秀吉さん」


『一人が辛かったら、俺の御殿に…』


秀吉の言葉を遮って、


「政宗も言ってくれたけど、大丈夫だよ。
ありがとう、秀吉さん」


そう言う愛にそれ以上は言えずに、


『早く寝ろよ、お茶ご馳走様』


そう言う事しか出来なかった。
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