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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第14章 あなたへの恋文(家康)


翌日の朝、家康が目を覚ますと、隣にはもう愛の姿はなかった。

昨日、家康が疲れ果てて御殿に帰れば、
愛はいつものように

「おかえり、家康」

と、笑顔で出迎えてくれた。

でも、その目は少し腫れていて、
家康が見れば泣きはらしたのは直ぐにわかった。


(ごめん…)



心では何度もあやまれるのに、目の前の笑顔に触れると、
どうしても正直には言葉にできなかった。


(辛い…よね。あんた、強くないのに…)



きっと、笑顔で見送るために我慢をしている。


『愛、今日は交換しないの?』

三成が言っていた文とは、きっといつもの交換恋文だろう。


「あぁ…ごめんね。今日は色々忙しくてまだ書けてないの。
家康が帰ってくるまでに書いておくから…」


そう言った愛の目は揺らいでいて、嘘をついてるのが明らかだった。

(嘘つくの、本当に下手くそ…)


『わかった。
まだやる事あるから先に寝てて』


そう言う事が精一杯で、
静かに頷いて褥に向かう愛を見送った。


暫く準備を整え、漸く家康が褥へと向かうと、
そこには愛しい人の寝顔があった。

『泣き疲れたよね…ごめん。大好きだから』

小さく呟くと、そっと頬に口付を落とす。

どんなに笑顔で迎えてくれても、
やはり昼間の顔が頭から離れない。

『傷つけてごめんね…』


明日の出発前に必ず謝ろう。
そう心に決めて、眠りについた。






『もう起きたのか…まだ明け方?』

家康が障子に目をやると、外はまだ薄っすらと白みかけたころ。
それでも、隣には愛の姿がなかった。


『愛?』


掠れた声で呼びかけてみるが、辺りは静まり返ったままだ。


(水でも飲みに行ったのかな…)


昨日の疲れを引きずっていた家康が
再び瞼を閉じるのに時間はかからなかった。


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