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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第2章 特別な人(秀吉)


『三成、悪かったな…』
苦しそうな表情でそう伝える。

「いえ、やはり私じゃお役に立てませんでしたね。」
三成が苦笑いをした。

『いや、反物屋の主人も、団子屋の女将も、
2人は楽しそうだったと言っていた。
お前には世話かけたな。』

三成の肩をポンポンと叩いて労う。

『そうだ、愛の部屋にこれを持って行ってやってくれ。』

そういうと、今日唯一の買い物の反物を三成に託す。

少し驚いた顔で、
「秀吉様がお持ちにならないのですか?」
と訊く。

『いや、今は俺が行かないほうがいいだろう。
悪いが、お前が持って行ってくれ。』

反物の包みを受け取ると、
「かしこまりました。」
と三成が愛の部屋を目指す。

三成が愛の部屋に着き、声をかけるが返事がない。
「愛様」
二度程呼んだ後、襖を少し開けると、
隙間から畳に横たわる愛の姿が見えた。

西日に照らされたその姿は、息をのむほど美しく、
綺麗な人形が無造作に横たえられているようだった。

暫く眺めていた三成だったが、本来の目的を思い出し、
そーっと襖を開ける。
愛に近づいてみれば、泣きはらした顔のまま、
すーすーと寝息を立てていた。

反物の包みを置き、
奥から羽織を持ってきて、そうっとかける。
起こさないよう、静かに襖をしめて、
三成は皆の待つ広間へと向かった。


広間では、既に愛に何かが起こったことは皆に知れ渡っていた。
どんなにこっそり戻っても、目ざとい武将たちが見逃すわけがない。
愛が泣きながら城下を駆け抜けているのを見たのは政宗だ。

さらに、キョロキョロと周囲を確認して城を入るところを光秀にも見られていた。
今日、愛が何をしていたか知っていたのもあり、ただならぬ様子に
政宗も光秀も声はかけずにいた。

そして、今、秀吉は信長から大目玉を食らっている。
「貴様、今日は特に何も用がないと言ったな。」

『はっ。申し訳ございません。
ですが、自分事と、信長様直々の政務とでは、優先させるべきものが…』

「自分事だと?本当に自分事で済んでいるのだろうな?秀吉」

『…。』

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