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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第13章 忍びの庭 終章


「揃ったな」

そう声を出す信長は、宴の広間を出て行く時と同じ様に口端を上げている。

『ふざけた書状を送りつけるとは、どう言うつもりだ』

温かみを一切感じない冷たい声が静かに響く。

「ふざけたも何も、そのままだ。理解出来ない頭ではあるまい。三成」

相変わらず対照的に笑みを浮かべる信長が三成を呼ぶ。

「はっ」

少し身体を信長に向け、短く返事をすると、再び謙信に向き合う。

「単刀直入に聞きましょう。書状の内容、上杉殿はお受けになりますか」

その一言で、謙信も幸村も、今回の策が織田の参謀である石田三成の策とわかる。

『このうつけ者と、軍神とも呼ばれるこの上杉が手を組むだと?
どうしたらその様な戯言が思いつくのか不思議だったが…。
所詮小間物の策だったか。話にならん』

淡々と声にすると、三成を一瞥する。

「左様か。決別と相成れば、この場でこの上杉の智謀は無残にも首を跳ねられることになりますが、
宜しいとおっしゃるのですね?」

愛は普段滅多に見ることのない参謀としての冷たい三成に背筋が凍る。
本当にこのまま佐助の首を切ることも辞さない構えだと言う空気が伝わってくるのだ。

「ちょ、ちょっと待って下さい!あの…謙信様は佐助くんが大切じゃないんですか?!」

広間に揃う、信長と謙信以外の全員が驚いた様に愛を見る。

『小娘の分際で俺にその様な下らない質問をするのか。
お前なぞに答える義理はない』

そうバッサリと言い放つ。

「織田家ゆかりの姫君に向かって、小娘とはなんたる無礼!
口を慎んでもらおうか、上杉謙信」

秀吉がすかさず置いてある刀に手を掛けながら叫ぶ。

「秀吉!」

後ろから信長の声がかかり、刀に伸ばした手は止められた。

『どこぞのゆかりの姫かは知らんが、自分の住まう城で、上段に上がることさえ躊躇う姫が
そんなに大切にされている意味も価値も、俺にはわからん』

何処までも冷たく謙信の声が愛に刺さる。

「普段はこの様な場に出していない故、戸惑ったのであろう」

気にも留めない風に信長が言い放つ。

「そうだな。愛はこんなとこにいるよりも、
もっと身近で俺たちと触れ合ってる方が多いからな」

政宗が口を挟めば、

「その言い方だと、余計誤解を招きますよ、全く…」

家康がため息混じりに言う。

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