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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第13章 忍びの庭 終章


広間には今日も大勢の参加者が宴を楽しんでいた。
今日は政宗も来客が多い為、料理は作っていないようだ。

愛は、少し離れた席から、
普段友達のように接してくれる武将たちが、
凛として傘下の大名たちと渡り歩く姿を別の世界のように見ていた。

三成も、秀吉の脇に控えて色々な人と真面目な顔で話をしている。

(忘れがちだけど、みんな戦国武将だもんね)

そんな事をぼーっと考えていると、
急に横からほっぺたをつねられた。

「うひゃっ!なにひゅるの?!」

驚いて振り返ると、そこにはいつの間にか政宗の姿があった。

『お前があまりにも気を抜いてボケっとしてるから、
ちょっと構いたくなった』

そう言って笑っている政宗。

「こんなとこにいていいの?」

『俺の方は、大方挨拶し終わった。用があれば、向こうから探してくるだろ』

「そんなもんなの?」

腑に落ちない顔をしながらも、先ほどまでとは違う、
何時もの砕けた政宗を見ると、少し安心してしまう自分もいた。

『家康からか?』

ふと、政宗が愛の着物に目を向ける。

「そうだけど、何で知ってるの?」

不思議そうな愛に、政宗は思い出し笑いをするように、

『いやだってあいつら最後まで二人で、
どっちの意見も譲らないって張り合ってたからな』

堪えきれないように声を出して笑っている。

「そ、そうだったんだ?」
(なんか家康の話と違うような…)

『あいつ、結局自分で買ったのか。家康らしいな』

政宗と談笑をしていると、急に広間が騒然とした。
遠くから、信長の家臣が数名、ドタドタとかけて来たのだ。

「何だ。騒がしいぞ!」

信長の険しく大きな声が響くと、広間中は水を打ったように静かになった。

「何があった」

先ほどよりも声色を落ち着かせて再び信長が訊く。
すると、かけてきた家臣の一人が未だ息を上げたまま前に進み出て、

『申し上げます!ただいま城門に、上杉謙信と真田幸村と名乗る者が!』

「何?」

広間中に緊張が走る中、信長はニヤリと口端を上げると、

「ほぉ。二人だけか」

とつぶやき、

「直ぐに謁見の間に通せ。宴は続けろ。秀吉、三成」

『はっ』
そう言うと羽織をはためかせ、広間を後にした。

「面白くなってきたな」

政宗も眼を輝かせてニヤリと笑っていた。
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