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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第13章 忍びの庭 終章


安土の宴も最終日を迎えていた。

『愛、いる?』

宴の準備をそろそろ始めようとしていた愛の元に、
外から声がかかった。

「家康?」

驚いて襖を開けると、そこには包みを持って、なにやら機嫌の悪そうな家康の姿があった。

「どうしたの?どうぞ」

愛は部屋の中に招き入れると座布団を出す。

『いいよ、すぐ行くから。それより、これ』

持っていた包みを愛に押しつけるように渡す。

「なぁに?これ…」

『開けてみれば…』

「いいの?」

『そのためにわざわざ持って来たんだから、いいんじゃないの』

相変わらず、目を合わせずに不機嫌そうな声を出す。

「わかった」

愛が包みを開けると、そこには金糸で刺繍された鮮やかな橙色の着物があった。

「え?これって…」

『俺の見立て。今日はあんた主役じゃないんだし、それ着れば』

愛のお披露目と称した宴は実質昨日までで終わり、
今日は、安土に集まっている武将たちの繋がりの大名が呼ばれている。

「もしかしてこれ…みよしのさんが言ってた…」

三成が見立てた晴れ着を贈られていたが、
みよしのの主人は家康の見立ての着物も褒めていたのを思い出す。

店に見にいくと言うと、もう店には無いと言われて残念に思っていた。

「家康…から?」

『だったら、なに?誕生日でしょ』

「でも…」

『何?三成のは着れて、俺のは着れないの?』

「そ、そうじゃなくて!こんな高価そうなの…いいの?」

家康は、盛大に溜息をつくと、

『良くなかったら持ってこないでしょ。しつこい』

と、零した。

その言葉に愛の顔はパッと明るくなる。

「ありがとう!家康。とっても嬉しいよ!
今度、お礼するからね」

そう言うと、満面の笑みを見せる。

『っ!』

家康は、目元をそっと赤くすると、

『い、いいから。お礼とか…。
あ、でも、今度普段着、仕立ててもらうから』

「うん!もちろん!
嬉しいな。今日はこの着物で宴を楽しむからね。
家康はお客さんいっぱいで大変だと思うけど、飲みすぎないようにね」

『早く用意しないと遅れるよ』

その言葉を残し、家康はさっさと襖を閉めて行ってしまった。

愛はウキウキした気持ちで新しい着物に袖を通すのだった。
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