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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第13章 忍びの庭 終章


「言ってくれれば良かったのに…」

漸く絞り出した愛の声に、佐助は少し表情を曇らせる。

『こればかりは、確証が持てない。いつ君の元へ戻れるのか。
もしかしたら、後から戻っても、向こうでは同じタイミングになるかもしれないし、
場合によっては…例えば現代でも五十年くらい違ってしまうかもしれない。
そもそもが、超常現象なんだ。だけど、俺は、諦めるつもりはなかったよ』

そう言うと、掌だけをやっと格子の外に出し、
愛の頬を伝う涙を拭う。

『それに…』

佐助が眼をそらし、呟くような声を出す。

『目の前で、取られたくなかった…』

「え?取られる?」

愛が訳がわからないという顔を見せる。

『石田三成に…君を取られたくなかった』

「ええっ?三成くん?」

『こう言う事には疎い俺だけど、それでもわかる。
織田軍の中で誰より君の事が好きだと思うから。
それに、君も嫌いではない…むしろ、ちょっと好きになりかけている』

佐助が言う言葉の意味を頭の中で整理する。
そうすると、佐助が自分に対する想いに気づかないわけにはいかない。

「佐助君…それって…つまり…」

『嫉妬』

「さ、佐助君が嫉妬?!」

『そうみたいだ。俺自身も、この感情の分析に時間を要してしまったけど…
俺は君に告白できなかった時からずっとし続けてきた蓋を、
いつの間にか開けてしまってたみたいだ』

愛はこの展開全く予想していなかった。

(これって、つまり、私は一日に二人から告白を受けているって事だよね…)

整理したはずの頭が、どんどん混乱していく。
なんて今日という日は長いのだろう。そんなことを呆然と考えてしまう。

『でも、君がこの時代に残ると決めた時に、良かった事もあったんだ』

(今度は何をいうの…)

最早佐助の次の言葉が怖くなる。

『ここでまた、君に新しい家族ができたみたいだから。織田軍っていうね』

(俺が死んでも、愛を一人にさせなくて済む…)

そう言うと、佐助は口元を綻ばし嬉しそうに言う。

「織田軍の皆んながそう思ってくれてるならいいけどね。
でも、この時代にいたら、生きてる限り佐助君にも会える。
協定がうまくいったら、今までよりもっと堂々と会えるでしょ?」

佐助は、胸にツキンと痛みを感じながらも、ただ頷いて見せた。
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