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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第13章 忍びの庭 終章


(監視の元だっていったくせに、やっぱり光秀さんは優しいな)

心の中で礼を言うと、愛は敷物に腰を下ろして佐助と目線を合わせた。

『先ずは君に謝らないとな…。ちゃんと説明できずにこんな事になってごめん。
未来にも帰してあげられなくなってしまったし…』

愛はゆっくり首を横に降る。

「それは、もういい」

『でも、君の夢を…デザイナーの仕事を叶えられなくなった』

愛はもう一度首を横に降る。

「そんなことないの。それはね、この時代でも叶えられるってわかった。
秀吉さんも、今後は私に仕立てを頼むって言ってくれたし、
この時代だからこそ、現代の知識を取り入れたら面白い物が作れるって思うから」

その言葉に佐助は眼を見張る。

『驚いたな。俺が思うよりも愛さんは、柔軟性も応用力もある』

そして、フッと少し微笑むと、

『それじゃあ、俺は君に何を話せばいい?』

と、訊いた。

愛の表情が一瞬緊張する。そして、意を決したように口を開いた。

「佐助君は…私一人を帰そうとしたけど…
佐助君はそれでよかったの?私より謙信様が大切なのは仕方ない。
けど、私を…一人にしてよかったの?」

一番聞きたい事だった。
同じ日本で離れて暮らすのとは訳が違う。一生会えなくなっても良かったのか…。
それが、一番悲しかった。
辛い時にいつも佐助は励ましてくれたし、寂しい時にはそばに居てくれる。

自分にとっては、佐助に会えなくなる日々を想像もでくない。
けれど、佐助は違ったのだとわかった時に、得体の知れない痛みが胸を襲って、
それは身体中に広がって力を奪われるようだった。

『そんな訳ないだろ…』

佐助はポツリと呟く。

『今まで、どれだけの時間を一緒に過ごして来たと思ってるの?』

「だったらなんで…」

『俺は、愛も謙信様も、どっちも諦めるつもりなんてなかったよ』

その言葉に愛は、大きく眼を見開き、息を飲んだ。

『君を先に安全な未来に帰したかった』

「先に…?」

『俺は忍者だけど、研究者だ。どんな事をしても、
絶対にもう一度ワームホールの発生を見つけて、
愛の元へ帰るつもりだった。どんなに時間がかかっても』

思いがけない佐助の言葉に、思わず涙が溢れた。
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