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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第12章 忍びの庭 後編


「愛、お前は勘違いしているぞ」

光秀が懐から小さな紙を取り出しながら話し始める。

『それは…!』

佐助は、仲間に渡ったはずの手紙だと瞬時に悟る。

「勘違い?」

愛が小首を傾げる。

「あぁそうだ。お前は今、佐助が捕らえられたから、
一人で帰ることになりそうだと思っているようだが…」

『光秀さん!』

佐助が思わず声を上げるが、光秀は気にも止めずに話し続ける。

「この手紙には、出陣の際に春日山には戻れないので、
京の付近で合流するという旨が書かれている」

愛はまだ、意味がわからずに光秀を見つめている。

「その小さい脳みそでは、すぐには理解できないか?」

そう言って、クスッと笑う。

「つまり、佐助殿は、元々愛様を本能寺で未来に帰した後、
上杉軍に合流して、安土に進軍するつもりだったということですね?」

三成がわかりやすく説明を入れた。

「どういう…こと…」

愛は、佐助を見る。

『ごめん…愛さん。俺は、謙信様に本当にお世話になったんだ。
謙信様と出会っていなければ、今こうして戦国ライフを生き抜く事が出来なかった。
だから…俺は謙信様を裏切ることは出来ない。でも、君だけはちゃんと…』

そこまで聞くと、愛は支えている秀吉の腕をほどき、佐助の前まで来ると

ーーパシンっーー

広間に音が響き渡り、静寂が訪れた。

『愛さん…』

あっという間の出来事に、全員が呆然とする中、
信長だけが、笑みを絶やさない。

「酷いよ…佐助君…。元からそのつもりだったなんて…
だったら、言ってくれれば良かったのに!
自分だけだなんて思わないでよ!」

『え?』

「私だって…私だって、織田軍のみんなに凄く凄くお世話になって…
それでも、佐助君と現代に帰るから…みんなを裏切って帰ることになるからって…
どんな思いで、晴れ着縫ってたかわかる?
みんなが私にくれた着物だって…みんなの想いが詰まったあの着物…
袖も通さずに居なくなるんだって思ったら…凄く辛かったんだよ!
どうして言ってくれなかったの?佐助君の本当の気持ち言ってくれたら…
私は帰るっていう選択肢の他にも、佐助君がいるこの時代に一緒に残るっていう選択肢が出来たのに!」
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