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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第12章 忍びの庭 後編


〈あいつは、ヒロトと勝負して負けたんだよ。
だから一生お前のことは、さん付けだ〉

そう言って笑っていた。

「どうせ、くだらないゲームとかだったんでしょ…」

『俺にとっては〈人生をかけたゲーム〉だったけど…』

「え?」

『君に告白する権利をかけたゲーム』

「なに…それ…」

こんな緊迫した状況で、聞かされる話でもないような気がしたが、
始めて聞く真実に、驚かずにはいられない。

『君のお兄さんが出した、〈愛カルトクイズ〉に全問正解できたら、
告白する権利が貰えるっていう、俺たちにとっては、人生をかけたゲームだった。
最後の問題まで、俺もヒロトもずっと間違えなかったんだ』

「ち、因みにどんな…」

『小学生の時のお気に入りの靴の色、好きだったアニメ、好きな給食のメニュー
中学の担任、高校の得意科目…』

そこまで言うと、急に佐助の顔が曇る。

「どうしたの?」

『でも、俺は一番大切な問題に答えられなかった…。
そして、俺はあの頃と今も何も変わってない』



「よくわからない問題のようだが、何に答えられなかったのか教えてもらおうか?」

その声とともに、勢いよく襖が開く。

「光秀さん!…三成くんも…どうして?佐助君がいるの、知ってたの?!」

『愛様…すみません…』

その言葉に愛は、近くにあった座布団や小物を手当たり次第に投げつけ出した。

「おい、やめろ小娘!」

『愛様!』

光秀と三成は次々に飛んでくる物を避けながら、愛を抑える。

「やっぱり、ここには味方なんて居なかった!
三成くんが私情で動くなんてありえないもの!嘘つきっ!」

抑えられた愛は、そのまま、わんわんと子供のように泣き出した。

『そんな…愛様…』

愛の泣き声は、三成の心臓を抉り取るように響いた。

『さぁ、泣き止んで。愛さん、タイムリミットだ』

佐助がスッと立って、光秀元へと進む。

「佐助君、だめ!」

佐助は愛を振り返って一度笑顔を見せると、
もう一度光秀に向き直り、

『光秀さん、俺は捕まる覚悟ですが、一つだけお願いがあります』

そう、真剣に頭を下げたのだった。

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