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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第12章 忍びの庭 後編


三成と愛が安土城に戻ると直ぐに、光秀の姿があった。

「光秀さん、何かあったの?」

真剣な眼差しの愛に、光秀はいつものようにニヤリと笑ってみせる。

「随分早かったな。そんなに急いで帰ってこなくても良かったのだぞ?」

「え?だって、光秀さんが直ぐ戻れって言ったんでしょう?」

訝しげな顔をしている愛に、

「三成には早めに戻れと伝言を頼んだが…、
あぁ、そうだ。愛も一緒だろうからと言ったかもしれん」

その言葉に、三成と愛は顔を見合わせる。

『では、愛様は一度お部屋にお戻り下さい。
何かありましたら、ご報告に上がりますから』

三成が改めて笑顔で愛に伝える。

「うん…わかった」

腑に落ちなかったが、とりあえず何もないならそれに越したことはない。
そう思った愛は、自分の部屋へと向かう。

愛の姿がすっかり見えなくなるのを見届け、光秀は声を潜めた。

「三成。今、例の忍びが愛に接触するぞ」

三成は、覚悟をしていた。
愛を連れ出す間際に感じた気配と、光秀の動きを見れば、
こうなることは予想はついていた。

愛に全てを聞いた後ではあるが、やはり自分の立場はわきまえねばならないのだ。

『わかりました。すでに布陣を?』

「あぁ。天井裏からは抜け出せなくしてある。
中庭の外にも自分の家臣たちを配置している。
後は、三成と二人で廊下側に立つだけだな」

三成は何も言わずにただ頷く。

「あの忍びは、上杉の軍とは京の付近でで落ち合う予定だったようだ」

『どこでその情報を?』

その言葉に、光秀は懐から小さな紙切れを出しす。

「これを受け取るはずの鼠は、今頃伸びているだろうよ」

そう言うと、再び口の端を持ち上げ、不敵に笑って見せた。

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