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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第12章 忍びの庭 後編


『元いた時代で、佐助殿と愛様一緒にいらしゃったのですね…。
お二人は…どの様なご関係なのでしょう』

三成は覚悟を決めて、核心に迫った。
それが、自分にとってどんなに苦しい結果になるかもしれなくとも、
訊かずにはいれない事だからだ。

「佐助君とは、本当に小さい頃からの幼馴染なんだ。
小さい頃から、私とお兄ちゃん、佐助君と、お兄ちゃんの親友の四人は
いつも一緒だったの」

『愛様にはお兄様がいらっしゃるのですか…。
そのご友人も、ご家族も、愛様の事をとても心配なさっているのでしょうね…』

三成の言葉が胸にグサリ刺さる。
もう、現代に帰っても、愛を心配する兄とその親友はいない。
今の愛には、身近な人は佐助しかいないのだから。

泣きそうになるのグッと飲み込み、一つ息を吐く。

『愛…様?』

様子がおかしい愛を心配して、覗き込む三成の眼はかすかに揺れていた。

「もう、お兄ちゃんも、その親友もいないんだ。
私達には既に両親も居なかったから…。
お兄ちゃんの親友は私の婚約者だったけど、もう二人とも居ないから…
今の私には、佐助君しかいないの…」

『婚約者とは…』

「なんて言うんだろう?簡単に言えば、祝言を挙げるはずだった人ってこと…」

無理をして微笑んでみせるが、きっとうまく笑えてないだろうと思った。
ただ、涙だけは流さない様にと、口元に力を入れる。

三成は、愛の言葉に少なからずのショックを受けた。
佐助が、愛と恋仲ではないかとは覚悟をしていたが、
愛から紡がれた言葉は、それ以上に衝撃だった。

『すみません…知らなかったとはいえ、辛い事を…』

「ううん。大丈夫。いつまでも引きずってても仕方ない事だから。
それに、あんまりクヨクヨしてると、佐助君に心配かけちゃうから」

愛が佐助の話をする時の、微妙な雰囲気の違いを三成は感じ取る。

『愛様は、今は佐助殿の事が…』

不安に駆られ、つい口に出してしまった。
愛は、三成の言葉に明らかに動揺した。


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