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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第12章 忍びの庭 後編


「三成くん…私、もうここを離れなくてはいけないの…」

愛の突然の言葉に、三成は驚いて目を見開いた。

『今…なんと?』

「あのね…私は…この時代の人間じゃないんだ。
私は五百年先の未来から、事故的にここへ飛ばされてしまったの…」

真剣な眼差しで三成見据える。
そのまっすぐな瞳を見れば、愛が嘘をついていないと三成にも伝わった。

『では…あのお話は本当だったのですね』

三成がつぶやく様に言った。

「あの話?」

『はい。本能寺で信長様を助けられた翌日、
秀吉様が信長様に聞いていらっしゃったのです。
あの女は何処から来たか明かしているのか…と。
その際、信長様は、愛様が五百年先の未来から来たと言っていたと…』

三ヶ月前の本能寺の出来事が、まるで昨日のことの様にフラッシュバックした。
確かに、何処から来たのかと訊かれ、まだパニックの中にいた愛は、
未来から来たと訴えたが、相手にされなかった事を思い出す。

「そうだね。あの時は…誰にも信じて貰えなかったよね…」

愛は、少し寂しそうな顔で俯いた。

『でも、今の愛様が嘘をついていらっしゃらないことは、
私にはわかります。だから、私は信じますよ。貴女の言葉を』

いつもの柔らかく優しい声に、俯いた顔をあげれば、
目の前には、初めて会った日と変わらぬ、穏やかでどこか艶めく三成の顔があった。

「ありがとう。三成くん」

愛はその表情に、少し顔を綻ばせ、笑ってみせた。

『でも、明日ここを離れなければならないのです?』

今度は三成が顔を曇らせる番だった。

「うん…あのね、私がこっちの世界に飛ばされた時とは逆の現象が、
もう直ぐまた本能寺で発生するんだって。佐助くんが…三成くんが警戒している忍びが
計算して割り出してくれたの」

『計算…?あの忍びは、一体何者なのですか?』

「佐助くんは…ただの忍びじゃ無いの。私と同じ様に五百年先から飛ばされたの。
一緒に事故にあったけど、佐助君は四年前にこの時代へ飛ばされたんだって」

にわかには信じがたい愛の説明だったが、
頭の回転早い三成は、瞬時に出来事を整理した。

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