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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第12章 忍びの庭 後編


『宴の前に、全てをお話しします。今はまだ、胸に終わせて下さい』



いつか、愛が
なぜ散歩に誘うのかと聞いた時に、三成が答えた言葉を思い出す。

(そっか。あの時の…。全部教えてくれるんだ)



愛は、 三成を見上げると、

「うん。お散歩、行こう」
と、微笑んだ。


三成は愛の答えを聞くと、
少しホッとしたような顔で再び目を細める。

「どこに行くの?」

三成は少し考えた後、

『愛様が好きだと言っていた、花畑に行きましょうか。
あそこなら、ゆっくり話が出来そうですから』

「わかった。すぐ用意するから、待っててね」

愛は立ち上がると、簡単に出かける準備をする。

『急なお誘いをしてしまい、申し訳ありません。外で待ちましょうか?』

謝る三成に、

「ううん。大丈夫。もうすぐ終わるから、一緒に出よう?」

そう伝え、すぐに支度を終わらせた。

「さ、お待たせしました」

襖を開け、三成を促す。

ふと、廊下に出た途端、

カタン…

と、音がした気がして部屋を振り返る。

『どうなさいましたか?』

不思議そうな顔で三成が愛の側へ寄ってくるが、

「なんか、物音がしたような気がしたけど…
多分気のせい。さぁ、行こう?」

『はい!行きましょう』

本当で気のせいだと思った愛と、笑顔の三成が玄関に向かって行く。


ふと、三成が愛に気づかれぬように部屋の方を振り返る。


(まだ…付いて来ているのですね…。
本当にしつこいネズミです。
でも、今日こそは絶対に逃しません…)


「あれ?光秀さん!どこかに出かけていたんですか?」

前方で愛の声がして、三成が視線を戻す。

『おや?二人揃って出かけるのか?仲が良いことだな。
近くに政宗がいたから、せいぜい邪魔されないことだな』

〈政宗〉という名前に、昨日の話を思い出し、
三成といることに少し緊張が走ったが、

「もう。大丈夫ですよ…揶揄わないで下さい。三成くん、行こう!」
と、頬を膨らませ、先に下駄を履き、外へと出る。

『あ、光秀様、例の捕物の件ですが、宜しくお願いします』

『わかっている。そのために今此処に戻った』

二人が無言で頷きあったのを、愛は知る由もない。



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