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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第2章 特別な人(秀吉)


きっと、今日も城下に出ようと言われるのだろう。

そう思うと、愛は少し憂鬱だった。
城下の逢瀬も嫌いじゃない。

けれど、城下を歩くと、人気者の秀吉は男女問わずに沢山の人から声をかけられる。
その度に、愛は少しだけ待ちぼうけを食う。
少しだけ、ヤキモチな気持ちが現れる。
そして、そんな自分が少しだけ嫌いになる。

(思い切って今日は、ずっと御殿に居たいっていってみようかな…)

実は、毎回の逢瀬の約束が出来るたびに、愛はそう思っている。
けれど、いざ当日になり、嬉しそうな顔で秀吉に

「愛、城下に行くから支度しろ」

と、大好きな笑顔で言われる度に、
我が儘のような気がして言えなくなるのだ。

(本当は、ずっと独り占めしたい…)

その気持ちをグッと堪えて。




愛は待ち合わせの時間に、
少しだけモヤモヤした気持ちで秀吉の御殿についた。

「秀吉さん、愛です。」

そう言って、襖を開ける。

『愛様!お待ちしてました!」

そう言って笑顔で迎えてくれたのは、何故か三成だった。

「あれ?三成君?秀吉さんは?」

そういうと、三成は、申し訳なさそうな顔で

『愛様、すみません。
実は、秀吉様は信長様直々の急な仕事が入ってしまって、
今日は1日出掛けてしまわれてるのです…。』

と、告げる。

「そっか…直々じゃ断れないしね。
わかったよ、じゃぁまた出直すね。」

(あれ…私今、少しだけホッとした?
そんなわけないよね。残念なんだから…)

『いえ、愛様お待ち下さい!
そのまま帰しては、私が秀吉様に怒られてしまいます!』

三成に言葉に、キョトン?としていると、

『今日は秀吉様の代わりに、わたくしが愛様を
城下にお連れするように言われております。』

最高のエンジェルスマイルで三成がそう微笑む。

(代わり…って…。)

愛は正直腹が立っていた。
愛にとっての今日の時間は、秀吉のためであり、
決して誰かが代わりになるようなものではない。

「え、悪いよ。三成君だって、色々忙しいでしょう?
私は大丈夫だから…」

三成が悪い事をしているわけではない。
出来るだけ角が立たないように言葉を選んだ。


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