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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第12章 忍びの庭 後編


政宗の手から逃げるように秀吉の背中に回る。

『仕方ねぇな、続きは後でな』

不敵な笑みを崩さず、政宗が座る。

愛は、木漏れ日のような緑色の晴れ着を手に取り、
秀吉に近づく。

『これは…とても綺麗な色だな。お前の反物の見立ても大したものだ』

着る前から愛を褒めちぎる秀吉に、

『ほんと甘やかしすぎ…』

と家康が小さく漏らす。

秀吉に晴れ着を着させると、自画自賛のため息が漏れた。

「やっぱり…すごく似合う!また一段とモテちゃうよ、秀吉さん!」

秀吉の優しさを表すような、温かみのある緑色は段々と白に流れていく。
そこには、綺麗な銀の糸でマーガレットがあしらわれている。

『お前なぁ…別に俺はモテたいわけじゃないぞ?』
(お前以外にはな…)

心の声はぐっと堪えた。

『でも、俺の凄く好きな色だ。ありがとな。
この花はあまり見たことが無いな。なんて言う花だ?』

「それはね、西洋の花で、マーガレットっていうの」

『ほお。愛貴様は西洋の花を知っているのか』

すかさず声を出したのは信長だ。

「は、はい。故郷にいた時に回ってきた行商の人に…教わりました」

『あんたんとこ、南蛮物売りにくるくらいの家柄なの?』

家康の言葉にギクリとする。

「べ、別にそう言うんじゃないけど…」

『それで?そのまーがれっととやらは、どんな意味がある』

光秀が助け舟のように花言葉を訊く。

(助けてくれたのかな?)

「は、はい。マーガレットの花言葉は〈誠実・忠誠〉です」

『秀吉以上にその花の意味が合う奴はいないな』

光秀が楽しそうに言った。
いつもなら、〔お前も少しは!〕と秀吉の小言が光秀に向けられそうなものだが、
今日は出てこない。
秀吉は、愛の両腕をガシっと掴むと、

『さすがだ!お前は本当に俺のことがわかっているんだな!
俺はこれを着て一生信長様に忠誠を誓う!』

と、歓喜にくれていた。光秀の言葉など耳には入っていないようだった。

「う、うん…よろこんでもらえて、本当によかったよ…」

『喜ばないわけないだろ!こんなに俺をわかってくれるのは、お前だけだ』

そう言うと、愛をギュッと抱きしめた。

「ひ、秀吉さん!?」

突然の事で目を白黒させていると、いつの間にか近づいていた家康に引き剥がされた。
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