• テキストサイズ

イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第12章 忍びの庭 後編


「失礼致します」

広間の襖を開けて、愛が入ってくると、
武将の面々はとても穏やかな顔で迎えた。

『愛、ご苦労だったな』

政宗が真っ先に声をかける。

「ううん。とっても楽しく作らせてもらったよ。
気に入ってもらえるといいんだけど…お願いします」

愛が声をかけると、広間の奥の襖が開けられ、
女中たちが衣桁を近くに運んでくる。

【おお…】

誰からともなく感嘆の声が漏れる。

『ほお。よく出来たものだな』

信長が口元を綻ばせて愛を見る。

「何と無くはわかるけど、一応聞いとく。どれが誰のなの」

家康はなぜか愛とは目を合わせずに声を出す。

「うん。今ちゃんと分けるね」

そう言うと、それぞれの元へ晴れ着を揃えた。

「袖通してもらって、最後のチェ…確認をさせてもらいますね」

そう言うと、一番近くにいた光秀から声をかける。

「光秀さん、いいですか?」

そう言うと、着物を持ち光秀の後ろに立つ。
光秀は言われるままに袖を通すと、愛を向き直った。

『さぁ、どうなんだ?』

「着心地は…いかがですか?」

『着物を仕立てるのは、特に晴れ着は久しいが、動きやすくとてもいいんじゃないか?
お前にしては上出来だと思うぞ』

口元に笑みを携えて珍しく素直に愛を褒めた。
光秀に褒められることが滅多に無い愛は、心底照れてしまうが、
喜んでもらえた事への嬉しさが勝る。

『それは、藤の花ですか?』

三成が、刺繍について訊く。

『男に藤とは珍しいな』

秀吉も不思議そうに愛を見る。

「はい。悩んだんですけど…でも、銀の糸を使う事で女らしさを消しました。
これには、意味があるんです」

『藤の花にか?』

光秀も好奇の目で愛を見る。

「はい。今回皆様の晴れ着には、それぞれに合うような花言葉を選びました。
だから、少し季節外れなものもあるかもですが、
できるだけいつでも着ていただけるような配色にしたつもりです」

『花言葉とはなんだ』

面白そうに見ていた信長が訊く。

「花言葉とは、それぞれの花に意味付けられた言葉です。
私の故郷では、色々な花に違った意味をもたせているんです」
/ 773ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp